リカバリーって何だろう(2025年1月)


 ■1月22日、札幌にある就労移行事業所「コンポステラ」などを運営する「コミュネット楽創」の本多俊紀理事にZOOM勉強会講師をしていただき、リカバリーについて学びました。その後、勉強会を所内で振り返りました。

 

■リカバリーは「”起こすもの”ではなく”いつの間にか起こっていたもの”」

「チャレンジしている過程」「自然に少しずつ周りから力をかりて進んで行く道のり」「症状がありながらも希望を持って前向きに生活していること」などスタッフ が考えるリカバリーを意見交換しました。

 

 

■精神障害のある当事者であり、心理学博士でリカバリー運動の第一人者、パトリシア・ディーガンさんは「リカバリーとは、プロセスであり、生き方であり、姿勢であり、今日この日の問題への取り組み方である」と述べられています。

 

 

■リカバリーに正解はありません。そらいろは利用者さんに自分のリカバリーを表現し自分のリカバリーを生きていただきたいと願っています。

 

 

 

 

 

所長インタビュー(2024年10月)


 ■前回のインタビューから6カ月経過しましたが、変化したことを教えて下さい。

 

スタッフ間のコミュニケーション量が増加しました。スタッフ間での「IPS型就労支援」の共有によるところが大きいと思います。毎週時間を設けて「IPS型就労支援」について書かれた本の読み合わせをし、所内で意見交換をしています。

利用者さんの生活に「働くこと」を取り入れて悩みながらも毎日を過ごし、利用者さんが少しずつ成長を実感できるといいなと思っています。

 

■コミュニケーション量が増加することで何が変わりますか。

 

利用者さんの姿がより「見える」ようになります。「見える」と担当スタッフはもちろん他のスタッフもタイムリーな支援をすることができるので好循環がうまれます。現在そらいろでは生活と就職の担当を分けて、ひとりの利用者さんに対して複数のスタッフが役割を分担して支援をしています。チームで支援することは利用者さんの目標(就職)に早くつながると思います。

 

■他に変化は

 

事務所のレイアウトを大きく変更しました。一見利用者さんの支援に関係ないように思いますが、所内の掃除や片付けをすることは私たちの「余裕」につながったと思います。「余裕」があると、柔軟に支援に必要な工夫が生み出されると改めて実感しました。支援や業務の振り返りをしてたえず変化させていきたいと思います。

また、2024年11月からプログラムがゼロになり個別支援のみとなります。必要なことを利用者さんの状況に合わせてカスタマイズして提案していきます。

 

■今後の展開が楽しみですね

 

さらに柔軟な対応をしていきたいと考えています。例えば、サービスにアクセスできない人のためにサービスを届ける訪問活動などが思い浮かびます。

精神障害のある方の就職というと、服薬が安定しているとか、生活リズムが整ってからとか言われますが、そうではないと思っています。「働きたい」と思う気持ちが一番大切だと思います。働くことに興味があったらぜひ相談して下さい。わたしたちは相談先の一つになりたいと願っています。悩みながら一緒に歩いていきましょう。(所長 池田克之)

 

所長インタビュー(2024年4月)


■ そらいろ設立の経緯

  

当時(15年ほど前)精神科クリニック勤めていました。精神障がいのある方に関わっていると、元気が出てきたら「働きたい」と言う人が多いです。クリニックでの支援の一環ではなく、それに特化した形が必要だと思いました。就労移行支援は制度として始まったばかりで事業所も非常に少なかったのですが、思い切って設立を目指しました。

 

■ これまでの取り組みと成果

 

印象に残っているのは、約15年間自宅に引きこもっていた方が就職に結びついたことです。今も働いていることを報告して下さるとうれしく思います。

周りも、ご本人も諦めていた人が就職される。なぜそれができたのだろうと振り返ると、ご本人の可能性を信じていたからだと思います。

また、そらいろから就職→退職→就職と短い期間の就労を3回繰り返され、4回目の就職で周囲の人から喜ばれ、ご本人もやりがいを持って働かれている方もいらっしゃいます。

長く働くことが大切という考え方がありますが、短くても一つひとつの経験を重視するという考え方もまた意義があると思います。就労を通じて生活上の経験を重ねていく。極端にいうと短くてもOKだと思います。その時の経験を大切に振り返りたいと思っています。あきらめず続けると、工夫を一緒に考えてくれる良心的な企業と出会えます。

 企業の方はご本人のヤル気を見てくれています。障がいに注目するのではなく、ご本人の全体像をとらえてくれているように思います。

 

現在も続けている心がけとして、教えるスタイルにならないようにしています。「教える」と、人は「待ち」になってしまう。そうではなく、一緒に考える姿勢を大切にしています。少し先のことを一緒に想像することは、なかなか楽しいことです。わくわくします。

「二人三脚」という言葉が好きです。やり取りの中でお互いの呼吸を合わせる。パートナーシップはそんなところから生まれると思っています。

 

■ 今後の目標

 

そらいろではこの3年間でIPS型就労支援をはっきり意識しています。道半ばですが、さらに大きく育てていきたいと考えています。そのため、日々支援で足りない点を挙げてスタッフ間でひとつずつクリアしているところです。

そらいろを居場所としてゆっくり休憩したいと思う人もいるかもしれませんが、就労支援は周りの利用者さん、スタッフが活動をしているので、チャレンジの気持ちが伝播するんです。スタッフも丁寧に対応しながら常に機会を逃さないようにしています。

働くことを生活に取り入れて少しずつ過ごしやすくなるといいなと思っています。一歩が踏み出せない方も、働いてみたいと思われる方はぜひ一緒に挑戦しましょう。(所長 池田克之)